セミナー事務局の裏側。「事務局やりませんか」と誘われた人に起きる、2つの交通事故
こんにちは、実原です。
セミナー事務局とは?の記事 では、この仕事の良いところをたくさん書きました。
継続契約で収入が安定する。未経験でも型を覚えれば回せる。席は空きだらけ。
全部、本当です。
でも今日は、逆のことを書きます。
この業界の、裏側です。
きれいな話だけ聞いて現場に入ると、高い確率で事故に遭うからです。
13年この世界にいて、僕は同じ事故を何度も見てきました。
読んでから、決めてください。
この仕事の入口は、9割が「スカウト」です

まず、知っておいてほしいことがあります。
セミナー事務局の仕事は、求人サイトにはほとんど出ません。
じゃあ、みんなどうやってこの仕事に就くのか。
典型的なパターンは、こうです。
あるセミナーの受講生が、講師に気に入られる。
そしてある日、こう言われる。
——これが、この業界の"採用"です。
大好きな先生から、直々に誘われる。
信頼されている証拠だし、嬉しいですよね。
素敵な話に聞こえます。
でも、この幸せな入口で、2つの交通事故が起きています。
事故【1】「選ばれる基準」と「仕事の中身」が、ずれている
講師が事務局に誘うのは、どんな人だと思いますか?
パソコンが得意な人? 事務経験のある人?
違います。
すごく愛想が良くて、気遣いができる人です。
いつも笑顔で受講してくれて、場を和ませてくれて、細やかに気がつく。
講師は「この人となら気持ちよく仕事ができそう」で選びます。
気持ちは、痛いほど分かります。
でも——事務局の仕事の中身は、パソコン作業です。
申込リストの管理、メール配信の設定、決済システムの操作。
そして誘われた側は、大好きな先生の期待に応えたくて、こう言えないんです。
「私、スマホしか持ってません」と。
「パソコン、実は苦手です」と。
しかも、ここに追い打ちがあります。
「分からなかったら、先生が教えてくれるはず」——そう思いますよね。
教えてくれません。
というより、教えられないんです。
先生は、自分の専門分野を教えるプロです。でも、事務作業の教え方は専門外。
そしてセミナー講師には直感タイプが多いので、「理論立てて、順番に教えてもらう」は期待できません。
代わりに出てくる言葉は、こうです。
「見て覚えて」
「社会人経験あるんだから、これくらいできるよね?」
悪気はゼロで、本気でそう思っています。
つまり——パソコンが苦手な人が、誰にも教えてもらえない環境で、いきなり実務に放り込まれる。

結果、何が起きるか。
作業が回らない。納期に間に合わない。ミスが続く。
本人は「期待に応えられない自分」に苦しみ、講師は「頼んだのに進まない」と不満を溜める。
そして最悪の結末はこれです。
大好きだった先生と、仲が悪くなる。
お金を失うより、ずっとつらい事故です。
事故【2】講師の「報酬感覚」が、壊れている
もうひとつの事故は、お金の話です。
先に言っておくと、講師は悪人ではありません。
ただ、人を雇った経験が、ほとんどないんです。
多くのセミナー講師は、人を雇用した経験がありません。
自分の腕一本、成果報酬の世界で生きてきた人たちです。
「働いた時間にお金を払う」という感覚そのものが、そもそも薄い。
そこに「事務局って、誰でもできるでしょ」という思い込みが重なると、どうなるか。
時給に換算すると、数百円——感覚的には時給500円くらいの金額で、仕事を頼んでしまうんです。
たとえば「月1万円で、募集まわり全部お願い」と言われたとします。
メール配信、申込対応、入金チェック、当日の運営……実際に手を動かすと、月50時間かかったとしたら。
時給200円です。
頼んだ本人に、悪気はまったくありません。仕事量が見えていないだけです。
しかも、です。
講師のセミナーは夜も週末も動くので、24時間365日、返信してくれるものだと思っている。

夜10時にLINEが来る。日曜の朝に「あれどうなった?」と来る。
誘われた側は、好きな先生だから断れない。
最初は善意で頑張る。でも、人間の善意には限度があります。
数ヶ月後、疲れ果てて静かに去るか、ある日爆発するか。
どちらにしても、また仲が悪くなって終わるんです。
なぜ、同じ事故が繰り返されるのか
ここまで読んで、「講師がひどい」と思ったかもしれません。
違うんです。
事故【1】も事故【2】も、登場人物に悪意がひとりもいないのが、この話の怖いところです。
講師は、信頼できる人に任せたかっただけ。
誘われた人は、好きな先生の力になりたかっただけ。
じゃあ何が悪いのか。
この業界に「相場」と「型」が存在しないことです。
事務局の仕事内容が世の中に知られていないから、講師は仕事量を想像できない。
相場が知られていないから、値段がめちゃくちゃになる。
業務範囲の決め方が知られていないから、24時間対応の期待が生まれる。
つまりこれは、人の問題ではなく、構造の問題なんです。
事故を防ぐ方法は、3つだけ
構造の問題は、知識で防げます。
【1】「事務局=パソコン作業」だと知っておく。そして、自分に問う
まず、事務局の仕事の中身はパソコン作業だと、はっきり認知しておくこと。
選ばれる理由は愛想と気遣いでも、実務はパソコンの上にあります。
その上で、引き受ける前に自分に問うてください。
「私に、そのスキルはあるか? 適性はあるか?」
スマホしか持っていないなら、それを正直に言えるかどうか。
この認知と自己診断があるだけで、事故【1】の大半は防げます。
【2】相場を知っておく
セミナー事務局の仕事には、ちゃんと相場があります。
これを知らずに座るのが、一番危ない。相場を知らない人には、時給500円の仕事が「そういうものなのかな」に見えてしまうからです。
じゃあ相場はいくらなのか——ここに金額を書くことは、できません。
意地悪で隠しているわけではなくて、事務局の報酬は「何を、どこまで任されるか」で大きく変わるからです。
配信だけなのか。申込管理までなのか。当日の運営や、ページの制作まで入るのか。
組み合わせは案件ごとに全部違って、この切り分けと値付けは、現場の経験がないと判断できません。
だから僕は講座の中で、この「値付けの考え方」を実際の案件ベースで受講生に渡しています。
ここでは、これだけ覚えて帰ってください。
相場は、ある。そして、知らないまま座ると事故る。
【3】業務範囲と対応時間を、最初に決める
「どこまでやるか」「何時まで対応するか」を、始める前に講師と握る。これだけで24時間365日の期待は消えます。言いにくいことを最初に言うのが、プロの仕事です。
逆に言うと——
この3つを知らずにスカウトを受けるのは、ノーヘルで高速道路に乗るようなものです。
もし今、誘われたら。こう返事してください
「じゃあ、いま誘われかけてる私はどうすれば?」という方のために、正しい返事を書いておきます。
これだけです。
断っていません。熱意も伝わります。でも、ノーヘルで飛び乗ってもいません。
そして準備の時間で、この5つを確認してください。
5つ揃えてから座れば、あの2つの事故は起きません。
むしろ、範囲と時間をきちんと決めてくれる事務局は、講師からの信頼が上がります。
講師自身も、本当は決め方が分からなくて困っているからです。
最初の一歩は、ここから

僕が セミナー事務局養成講座 をやっている理由は、まさにこれです。
実務の型と、相場と、講師との線の引き方。
事故を防ぐ装備を、全部まとめて渡しています。
「誘われてから慌てる」のではなく、「装備を整えてから座る」。
同じ席に座るなら、そちらのほうが圧倒的に安全です。
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